トラナビ通信
トラナビ通信
「飲食店を開業したいが、人が集まらない」「求人広告に何十万円もかけているのに応募がない」「採用してもすぐに辞めてしまう」
——これらは今、飲食業界で開業・経営する方が直面する最も深刻な課題です。
実際、食べログ評価3.7以上の人気ラーメン店でさえ、人手不足を理由に閉店するケースが相次いでいます。採用単価は1人あたり100万円から150万円に高騰し、年間10店舗の出店計画を立てていても、人材確保ができず半分に減らさざるを得ない企業も増えています。
本記事では、飲食店開業における採用の成功法則を徹底解説します。大手求人媒体に頼る前にできる「0円採用の実践手順」から、アルバイトを優秀な社員に育てる「カンテラ採用システム」、さらには外国人採用との組み合わせ戦略までお伝えします。
飲食店の採用が困難な最大の理由は、労働環境の厳しさと待遇のバランスにあります。飲食店は構造的に労働時間が長くなりがちです。
典型的な飲食店スタッフの1日:
つまり、営業時間が11時〜22時の店舗であっても、実際の拘束時間は朝8時〜深夜0時近くになることも珍しくありません。
現代の求職者、特に若年層は仕事選びにおいて「コストパフォーマンス」を重視します。これは単なる「楽して稼ぎたい」という意味ではありません。
求職者が見ているコスパの方程式:
「時給が高くてもハードすぎると辞める」「楽でも時給が安すぎると続かない」という厳しい目線で職場を評価しているのです。以前のように「給与さえ高ければ人が集まる」時代は完全に終わりました。
飲食業界の採用単価は現在、1人あたり100万円から150万円と言われており、これは数年前の倍近い水準です。
採用単価150万円の内訳例:
この結果、「汗水流して稼いだ利益がほぼ採用コストに消えていく」という状況に陥っている店舗が少なくありません。
多くの経営者が陥る間違いは、人が足りないとなるとすぐにタウンワークやIndeedなどの有料媒体に手を出してしまうことです。しかし、お金をかける前にやるべきことが4つあります。
最初に取り組むべきは、現在働いているスタッフの知り合いにアプローチすることです。この方法の最大のメリットはコストが一切かからないことです。
リファラル採用の潜在力を数値化:
人は平均して親しい知り合いを6人程度持っていると言われています。もし店舗に10人のスタッフがいれば:
この60人の中から1〜2人も採用できないということは稀です。しかし、この基本的なアプローチを体系的に実践している企業は驚くほど少ないのが現状です。
成功させる5つのポイント:
次にアプローチすべきは、店舗を利用してくださるお客様です。
お客様採用の3大メリット:
具体的な7つの接点作り:
お客様のさらに外側、つまり「お客様の友人・知人」にアプローチするために、SNSを戦略的に活用します。重要なのは、お客様に拡散してもらう仕組みを作ることです。
効果的なSNS拡散キャンペーン設計:
投資対効果の計算:
仮に1回の特典が500円相当として、100名のお客様が拡散してくれた場合:
これにより、お客様の友人・知人という信頼できるネットワーク経由で数千人にリーチできます。求人媒体に月額20万円を支払うよりも、はるかに費用対効果が高いのです。
ここまでのステップを実践した上で、それでも人材が不足する場合に初めて求人媒体の利用を検討します。
求人媒体で成功するための3つの鉄則:
鉄則1:従業員の写真を必ず掲載する
多くの飲食店が犯す最大の過ちは、料理の写真や店舗の外観だけを掲載することです。求職者は「美味しそうな料理」を見ているのではなく、「ここで働く自分の姿」を想像しているのです。
効果的な写真構成:
鉄則2:「楽しさ」を伝える企画を盛り込む
単なる条件(時給、勤務時間、休日)だけでは他店と差別化できません。
実践例:独自企画の数々
鉄則3:IndeedとタウンワークPlusの使い分け
現在の求人市場では、IndeedとタウンワークPlus(タウンワークの求人がIndeedにも掲載される仕組み)の組み合わせが最も効果的です。
「カンテラ採用」とは、FCバルセロナの育成組織「カンテラ」(メッシやイニエスタを輩出)から名付けられた、アルバイトスタッフを社員として育成するシステムです。
これは単なる「採用手法」ではなく、むしろ**「教育システム」**としての側面が強いアプローチです。アルバイトスタッフにインターンシップのような成長機会とやりがいを提供し、自然と「この会社で社員になりたい」と思う人材を育てていく仕組みです。
メリット1:採用コストの劇的削減(最大80%削減)
従来の中途採用では、1人あたり100〜150万円のコストがかかります。10人雇うなら1,000〜1,500万円です。
コスト比較:10名採用の場合
従来の採用方法:
カンテラ採用:
削減できた500〜1,000万円を、社内の教育環境や労働環境の改善、給与水準の向上に投資することで、さらに人材が集まりやすい好循環を生み出します。
メリット2:アルバイトの圧倒的戦力化
カンテラ採用では、アルバイトスタッフに積極的に成長機会を提供します。
具体的な戦力化施策:
数値で見る戦力化の効果:
通常、売上500万円規模の店舗では社員3人(店長、料理長、サブ)で運営します。カンテラ採用を実施している店舗では、アルバイトリーダー2人を加えることで:
この2名分の戦力差が、サービス品質、営業時間の柔軟性、社員の負担軽減に直結します。
メリット3:離職率の大幅低下(ギャップゼロ採用)
中途採用や新卒採用で最も多い離職理由は「入社前後のギャップ」です。カンテラ採用では、すでに数ヶ月〜数年アルバイトとして働いているため、職場の実態を十分理解した上で社員になる決断をします。
離職率の比較データ:
メリット4:社員全員が人事部マインドを持つ組織へ
カンテラ採用では、**「自分たちの仲間は自分たちで採用し、自分たちで育てる」**というマインドが組織全体に浸透します。
メリット5:幹部候補の自然な育成
カンテラ採用を通じて、店長や幹部候補となる人材が自然と育っていきます。人を育てるプロセスを通じて、教える側の社員や店長のマネジメント能力も飛躍的に向上します。
カンテラ採用を成功させるための最重要ポイントは、大学2年生の段階からアプローチを始めることです。
なぜ2年生なのか?
3年生になると、学生はすでに「どの業界に進むか」をある程度固めています。飲食業界を選択肢に入れていない学生を、3年生になってから説得するのは非常に困難です。
2年生アプローチの戦略的優位性:
今後の飲食業界では、「カンテラ採用」か「外国人採用」かの二択ではなく、両方を並行して進める時代になっていきます。現在、社員の30%から50%が外国人という企業も増えてきています。
外国人スタッフを日本人と同等のレベルまで育成するには3〜5倍のコストと時間がかかりますが、カンテラ採用を先に実施している企業は、アルバイト教育のシステムが確立されているため、そのノウハウを外国人スタッフにも応用できます。
アプローチ1:日本語学校への直接訪問
アプローチ2:優秀な外国人スタッフへのキャリアパス提示
採用しやすい業態:
採用が困難な業態:
3ヶ月前(物件契約直後):
2ヶ月前:
1ヶ月前:
飲食店開業における採用成功の鍵は、段階的アプローチと長期的視点にあります。
採用の正しい順序(コスト順):
長期戦略(1〜3年):
人手不足で出店できない飲食店が増える中、成功している企業には共通点があります。それは、**「採用は単なるテクニックではなく、ファンづくりである」**という認識です。
今日から始められる3つのアクション:
飲食店の開業は、単に物件を借りてメニューを作ることではありません。「人を集めて育てる仕組みをつくること」とセットで考える時代になっているのです。