飲食店開業で絶対に失敗しない立地選び | 飲食店開業支援ならトラナビ

トラナビ通信

  • トラナビ通信2025.11.12

    飲食店開業を検討されている皆様、「立地がすべて」という言葉を聞いたことはありませんか?実際に年商1.6億円規模で複数の飲食店を経営し、現在はコンサルタントとして活動する専門家も「飲食店は立地に始まり立地に終わる」と断言しています。しかし近年、SNSの普及により、一見不利に見える「二等立地」でも大繁盛するお店が続々と誕生しています。

    本記事では、飲食店開業における立地選びの重要性から、無料ツールjSTAT MAPを活用した科学的な立地調査方法、そして立地が悪くても成功する具体的な戦略まで、実践的なノウハウを詳しく解説いたします。

    なぜ飲食店開業で立地が最重要なのか
    飲食店経営において立地が決定的に重要な理由は、お客様の来店プロセスにあります。お客様が来店するためには、まず「そのお店を知っている」こと、そして「そのお店に行く理由がある」ことの2つの条件が必要です。

    認知の起点としての立地

    どんなに素晴らしい料理やサービスを提供していても、お客様がその存在を知らなければ来店していただくことはできません。立地が良ければ、通行人による自然な認知が期待でき、広告宣伝費を抑えても集客が可能になります。一方、立地が悪い場所では、SNSやチラシなどを通じた積極的な情報発信が不可欠となり、初期投資が膨らむ傾向があります。

    来店理由の創出

    駅の動線上にある、オフィス街にある、住宅地にあるなど、お客様の生活導線に組み込まれた立地は、「寄る理由」が自然に生まれます。しかし、そうでない場所では、特別な魅力や話題性を創出し、わざわざ足を運んでもらう理由を作る必要があります。

    経営効率への影響

    良い立地は集客だけでなく、採用活動にも好影響を与えます。交通の便が良い場所はスタッフが集まりやすく、人件費の圧縮や教育投資の効率化にもつながります。また、将来的に事業を売却する際も、良立地の店舗は買い手がつきやすく、スムーズな事業譲渡が期待できます。

    科学的立地調査の方法論:面・線・点フレームワーク
    効果的な立地調査には、「面・線・点」という3つの視点から物件を評価するフレームワークが非常に有効です。

    面(商圏分析)

    商圏全体にターゲットとなる客層が十分に存在するかを数値で確認します。具体的には、年齢別・性別人口、世帯構成、昼夜間人口比率、事業所数などのデータを分析し、想定する顧客層がそのエリアにどの程度いるのかを把握します。

    線(動線分析)

    お客様が最寄駅や主要交差点、駐車場からお店まで到達する経路がスムーズかどうかを確認します。横断歩道の位置、中央分離帯の有無、坂道の勾配、信号の待ち時間など、来店を阻害する要因がないかを実際に歩いて確認することが重要です。

    点(視認性・入店しやすさ)

    店舗そのものの発見しやすさと入店のしやすさを評価します。看板の視認性、ファサードの魅力、入口の分かりやすさ、地下や2階といった立地条件をどう克服するかなど、物理的な店舗設計で解決できる課題を洗い出します。

    jSTAT MAPを活用した商圏データ取得の完全手順
    「面」の分析において極めて有効なのが、政府統計の総合窓口が提供する無料ツール「jSTAT MAP」です。このシステムを使えば、出店候補地周辺の詳細な統計データを時間別・距離別に取得できます。

    STEP1:会員登録

    jSTAT MAPの公式サイトにアクセスし、無料の会員登録を行います。メールアドレスとパスワードを設定し、IDを取得してください。

    STEP2:立地レポート作成

    ログイン後、地図画面右下の「統計地図作成」をクリックし、「レポート作成」→「立地レポート」を選択します。到達圏設定では「徒歩10分」を基本とし、業態によって5分や15分も併用検討してください。

    地図上で候補地点をクリックすると紫色の線で商圏が表示されます。「立地レポート作成」ボタンをクリックし、データの集計完了を待ってダウンロードを実行します。

    STEP3:重要指標の確認

    ダウンロードしたデータから、以下の項目を必ず確認してください:

    • 年齢別人口と男女比(ターゲット層の人数確認)
    • 世帯数・単身/ファミリー構成(客層の生活スタイル把握)
    • 昼夜間人口比率(居住者と勤務者のバランス)
    • 経済センサス(事業所数・従業者数の産業別内訳)

    比較分析の重要性

    1つのエリアだけでなく、最低3つの候補地で同じ条件でデータを取得し、横並びで比較することが重要です。データは仮説構築の材料であり、最終判断は必ず現地での確認と組み合わせて行ってください。

    現地調査で確認すべき重要チェックポイント
    データ分析だけでは把握できない「線・点」の要素を、実際に現地で確認することが不可欠です。

    時間帯別観察

    平日・休日それぞれで朝・昼・夕・夜の時間帯に最低15分ずつ現地に立ち、人流の質と量を観察してください。グループ・単独の比率、男女・年齢構成、買い物袋の有無、滞在・通過の割合などを記録します。

    動線遮断要因の確認

    横断不可の車道、中央分離帯、信号待ち時間、急坂、暗い路地など、お客様の来店を阻害する物理的要因がないかを確認します。ベビーカーや高齢者の方でもアクセスしやすいかという視点も重要です。

    視認性と入店障壁

    主要動線から看板が見えるか、袖看板や照明の追加で改善可能か、地下・2階・細い階段・段差などの入店障壁をどう解決するかを検討します。

    競合・補完店舗の分析

    競合店の価格帯、回転率、ピーク時間を観察し、相乗効果を生む補完店舗(スーパー、ジム、劇場など)の有無も確認してください。

    運営面の確認事項

    配送車両の駐車スペース、ゴミ置き場の確保、騒音・臭気・日照条件、雨天時の影響、ポスティング可能エリア、賃料相場なども併せて調査します。

    立地タイプ別の戦略的アプローチ
    立地は大きく4つのタイプに分類でき、それぞれに適した業態と戦略があります。

    駅前・繁華街(一等立地)

    人通りが多く高い認知度が期待できる反面、家賃が高く競合も多い立地です。回転率重視の業態(カフェ、ラーメン、立ち飲み、居酒屋)が適しており、ブランド力と高速オペレーション能力が成功の鍵となります。

    地下・空中階(準一等立地)

    同じ駅前エリアでも視認性が落ちるため、商品力と専門性で選ばれる理由を明確にする必要があります。客単価は取りやすい傾向にあり、ディナー業態の専門店に適しています。

    ビジネス街

    平日のランチとディナーが主戦場となり、土日の需要は期待できないため「週5日勝負」となります。昼は満席率・回転率重視、夜は客単価確保という異なるオペレーションに対応できる設計力が必要です。

    ロードサイド

    駐車場確保が前提となり、週末のファミリー需要がメインとなります。メニュー数が豊富で過度に高単価化しない業態(ファミリーレストラン、焼肉店、回転寿司)が適しており、大きな箱と人材の運用力が成功要因です。

    二等立地でも大成功する実践戦略
    近年、路地裏や2階など一見不利な「二等立地」でも大繁盛する飲食店が増えています。東京を中心に複数店舗を二等立地で成功させている事例から、その秘訣を学びましょう。

    独自の体験価値創造

    成功している店舗は、立地の不利を逆手に取り「隠れ家感」を演出しています。入店後は活気に満ちたオープンキッチンが広がり、靴を脱ぐスタイルで家庭的な安心感を提供するなど、他では味わえない特別な体験を設計しています。

    料理面では、美味しさに加えて「写真映え」を重視し、野菜串を美しく箱に並べて提供したり、シラスパスタを目の前で仕上げるなどの演出を取り入れています。野菜を前面に打ち出すことで女性客の罪悪感を軽減し、高い女性比率を実現している点も注目すべきポイントです。

    徹底した顧客目線のサービス

    スタッフは常に明るい笑顔で接客し、お客様に呼ばれた際は他の業務で忙しくても必ず目を合わせて応答します。予約席には手書きのメッセージカードを用意し、特別扱いされている実感を提供しています。

    ドリンクの提供は「異常に早く」、2時間制の時間制限があっても承諾いただいた場合はデザートをサービスするなど、制約を価値に転換する工夫が施されています。お帰りの際は全スタッフでお見送りし、寒い日には使い捨てカイロをプレゼントするなど、最後まで心のこもったサービスを提供しています。

    戦略的なSNS活用とプレオープン戦略

    二等立地では開店前からの情報発信が極めて重要です。Instagramを活用して内装工事の進捗や試作メニューの開発過程を発信し、開店への期待値を高めています。

    開店時にはメディア、インフルエンサー、酒造メーカーなどの関係者を招いたレセプションを開催し、初期の口コミ形成に注力しています。このような開店前からの戦略的な取り組みが、二等立地でのスタートダッシュを成功に導いています。

    経営者の覚悟と現場関与

    成功している経営者は「通行人に甘えないよう、あえて二等立地を選んでいる」と語ります。これにより、来店いただいたお客様に「絶対にまたリピートしてもらう」という強い覚悟が生まれるのです。

    オーナー自身がほぼ毎日お客として来店し、お客様目線でサービスや商品をチェックしています。現場をスタッフに任せつつも、オーナーにしかできない業務を徹底し、常にお客様の立場を考えたサービスを追求する姿勢が、継続的な成功を支えています。

    収益設計と物件比較の実践的手順
    家賃比率の目安

    月商に対する家賃(共益費・看板・消費税込)は8〜10%以内を基本とし、優良立地で回転率と採用面でのメリットが明確な場合は若干の超過も検討余地があります。

    3物件比較の進め方

    最低3つの候補物件で以下の手順を実施してください:

    1. jSTAT MAPで商圏データを同条件で取得・比較
    2. 現地調査でチェックリストに基づく採点
    3. 席数×回転×客単価×稼働日での売上試算
    4. 家賃・人件費・原価・水光熱・広告・雑費を差し引いた損益比較
    5. 悲観・基準・楽観の3シナリオでリスク評価

    まとめ:成功する飲食店開業への道筋
    飲食店開業における立地選びは、確かに事業の成否を大きく左右する重要な要素です。しかし、一等立地でなければ成功できないわけではありません。重要なのは、選択した立地の特性を正しく理解し、その条件に最適化された戦略を構築することです。

    jSTAT MAPを活用した科学的な商圏分析、現地での詳細な調査、そして立地の制約を魅力に転換する創意工夫。これらを組み合わせることで、どのような立地でも成功の可能性を最大化できます。

    最も重要なのは、お客様に「また来たい」と思っていただける価値を提供し続けることです。立地の良し悪しに関わらず、真摯にお客様と向き合い、継続的な改善を重ねる姿勢こそが、繁盛店への確実な道筋となります。

    今すぐ始められるアクションステップ:

    1. 候補エリアを3つ選定する
    2. jSTAT MAPで各エリアの徒歩10分圏データを取得
    3. 平日・休日の複数時間帯で現地調査を実施
    4. 3つの収支シナリオを作成して比較検討
    5. SNSアカウントを開設し、開業準備の情報発信を開始

    あなたの飲食店開業が大成功を収めることを心から願っています。

    この記事を書いた人
    管理部