トラナビ通信
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ラーメン店の開業を検討している方へ向けて、実際の経営経験に基づいた重要な情報をお届けします。本記事では、ラーメン店開業のメリットとデメリット、必要な準備、成功のポイントについて詳しく解説していきます。
ラーメンは日本国内で最も愛される食べ物の一つです。テレビやメディアで頻繁に取り上げられ、消費者の人気が非常に高い業態として知られています。
このような高い需要に加えて、他の飲食業態と比較して初期投資が少なく済むため、新規開業の回転が盛んな業界となっています。どこの町にも必ずといっていいほどラーメンを扱う店舗が存在するという事実が、その人気の高さを物語っています。
ラーメン店開業を検討する際には、実現可能性の高さと市場の需要の大きさが大きな魅力となっており、多くの起業家がこの業界に参入しています。
しかし同時に、その参入の容易さゆえに多くの競合店が存在し、生き残り戦略が極めて重要になってくるのです。
ラーメン店を開業する際には、どのような形態で経営するかを決定することが重要です。大きく三つの形態が存在します。
・単独店での開業について
単独店ではメニュー設定から店内の内装、家具、サービス内容に至るまで、自分の思い通りに揃えていくことができます。自身の求める素材や味を納得いくまで追求でき、こだわりを実現できる自由度の高さが最大のメリットです。一方で、開業手続きや開業資金の確保、物件の選定、店舗設備や調理道具の購入、仕入れ先や人材の手配など、開業に必要なすべてのことを自分でやらなければいけません。さらに個人店の場合は、店舗のPRのための営業スキルも求められるため、総合的な経営能力が必要となります。
・フランチャイズ形式での開業について
フランチャイズ展開では、親企業からブランド名や商品、サービスを使用する権利を得ることができます。メリットとしては、確立されたビジネスモデルがあるため開業しやすく、ビジネスリスクが低いことが挙げられます。また、親企業の信用力により資金の融資が受けやすいというのも大きなメリットです。しかし一方で、利益に関係なく加盟金やロイヤリティなどの支払い義務が発生することや、様々な規制があり経営の自由度が低いこと、ブランドイメージの既存の悪影響を受けやすいことなどが課題として挙げられます。
・ボランタリーチェーン形式での開業について
同業者同士が組織を結成して運営するボランタリーチェーン形式では、本部のノルマや規則などが比較的緩いため、各店舗によって独自のメニュー開発やサービス展開を行い、独自性を打ち出していくことができます。また、本部がメーカーからまとめて仕入れるためコストを引き下げることができ、仕入れコストが下がると今までと同じ売上でも利益率はアップします。しかし、フランチャイズのように強固なバックアップがないため、店舗の経営努力がより必要になってきます。さらに、大手フランチャイズチェーンと比べて知名度が低いため、自分たちで集客のための対策を考え、努力をしていく必要があります。
ラーメン店開業には、以下のような大きなメリットが存在します。
・経営の自由度と自己実現
自分の店の外観から味、サービスに至るまで、自分の思いをそのまま形にすることができます。ラーメン業界は自分の力に挑戦できる場でもあり、自分独自のコンセプトを実現できる業態です。
・初期投資を抑えられる
ラーメン屋では10席ほどの小型の店作りも可能で、他業態に比べて比較的少ない初期投資で開業が可能です。特に、設備の揃った居抜きの物件を見つけることができれば、用意する資金はより少なくて済みます。
・利益が直結する給与体制
雇われている立場では一気に給料が上がるということはありませんが、オーナーになった場合は、頑張って儲かった分がそのまま年収に繋がります。月収100万円以上稼ぐラーメン繁盛店オーナーもたくさんいるのが実現です。
・ラーメンファンの多さ
ラーメンは現在では国民的フードになっています。多くのラーメンファンがいるため集客はしやすい業態と言えるでしょう。
ラーメン業態には魅力的なメリットがある一方で、重大なデメリットも存在します。
・ライバルが極めて多い
回転しやすい業態ということもあり、ラーメン業態には多大なライバルが存在します。衝撃的な統計として、1年以内に4割の新規ラーメン屋が閉店し、3年以内の閉店が7割もあるという現実があります。この厳しい現実から、ライバルとの差別化のためにメニューやサービス、その時々の時代や環境の変化への対応能力がないと、生き残りは極めて困難なのです。
ラーメン店を成功させるためには、開業前の準備が極めて重要です。以下の項目について詳しく説明します。
・開業資金の計算
開業費用や初期運転資金を含めて、店舗規模や立地条件によって異なりますが、数百万円から数千万円が必要となることがあります。都内で約10坪のラーメン店の場合、初期費用は1000万円前後かかるのが相場です。
・開業場所の選定
ラーメン店の開業には、通りの多い場所や競合点の少ないエリアが好ましいです。また、駅や商業施設の周辺など便利な場所が選択肢として考えられます。立地選びは売上を大きく左右する重要な要素となります。
・各種許認可の取得
飲食業許可や建築許可、衛生管理などの各種許認可が必要です。地域によって異なるため、地方自治体の規制を確認する必要があります。
・競合の分析
競合店の位置やメニュー、価格設定などを調査し、自店の差別化ポイントや競争力を見極めることが重要です。また顧客層や需要の側面からも分析を行うことが大切です。
・プロモーション活動の計画
オンライン広告やSNSを活用したプロモーション、チラシやポスターの配布など、多角的なプロモーション手法を組み合わせることが効果的です。またイベントやキャンペーンを開催することも重要な施策となります。
ラーメン屋は開業しやすい一方で、同じくらいの店舗が毎年閉店しており、味だけでの勝負では厳しい業態です。ここでは、失敗しやすいポイントと成功するための注意点をご紹介します。
・業界の現状把握の重要性
ラーメンは雑誌やテレビで取り上げられる機会も多く、活気づいているかのように見える業界です。しかしこれはライバルが多いということでもあります。対策を曖昧なままに出展をしてしまうと、あっという間に経営不信に陥ってしまいます。味だけで勝負できないのが現在のラーメン業界であり、他業態以上に事前の準備調査が重要です。明確なコンセプト、事業計画、メニュー作りを行い、ライバルとのしっかりとした差別化が必要となってきます。
・ラーメンの品質追求
最近では、スープのバリエーションやオリジナリティの高いラーメン屋が増え、客の判断基準も高くなっています。ラーメンは季節や温度に味を左右されやすい料理ですが、毎日味にブレがないラーメンを提供するのは絶対条件です。多様化し人気繁盛点がいくつもあるラーメン業界の中で、オリジナルのラーメンで勝負していくのは決して簡単ではありません。定番の味では既存のラーメン屋の中に埋もれてしまいますし、斬新で奇抜なラーメンだと一時的には売れたとしても客足が続かない可能性があります。いかに飽きられず受け入れられやすいラーメンを提供できるかが、店を続けていくための鍵となるのです。
・資金計画と運転資金の管理
平均客単価が1000円程度のラーメン屋で利益を上げていくためには、しっかりとした収支バランスを考えておかないと営業を続けていくことはできません。オープン後1ヶ月ほどは目新しさで集客はできますが、2~3ヶ月目頃から客足が落ちます。この時期を乗り越え、リピーターを地道に増やせるかどうかは、運転資金がどれだけ残せているかで決まります。
イニシャルコストの回収を急がず、できるだけ運転資金に残すようにしてください。新規オープンの際には、居抜き物件を探したり厨房機器をリサイクルで揃えたりするなど、イニシャルコストを抑える工夫が必要です。客単価が低い業態ですので、売上を確保するためには回転率を上げることも念頭に置かなければなりません。店舗設計には回転率を上げるための工夫が必要です。
さらに、資金計画を立てて1日の売上額を前もって想定し、万が一売上が想定額に満たない場合にどのような見直しができるかを考えておく必要があります。
・人手の確保と労働環境整備
求人をしても人が集まらず、飲食業界は慢性的な人手不足の状態が続いています。人手が足りなければその負担が他のスタッフにかかってしまうため、労働環境の悪化による離職、新しく人が入っても続かない、サービス低下によるお客様離れと悪循環に陥ってしまいます。スタッフを確保できず営業がままならなくなり、繁盛していたにも関わらず閉店を余儀なくされたというオーナーの話はよく伺います。
人口減少と人件費の上昇という課題は、今後ますます続いていくでしょう。そのため、より少ない人員で運営できる体制作りや、省力化を考えた店舗作りは必須項目です。
ラーメン店を開業する際には、様々な厨房機器が必要となります。主な機器としては、生面器、圧力釜、券売機などの調理機器があります。加熱機器としては、ガスコンロ、ガステーブル、ガスレンジ、ローレンジ、スープレンジ、中華レンジ、茹で麺器、餃子焼き機、フライヤー、炊飯機などが挙げられます。
冷気器としては、冷蔵庫、冷凍庫、冷蔵ショーケース、冷凍ストッカーなどが必要です。その他の厨房機器としては、シンク、作業台、板金、食洗機、浄水器などが挙げられます。これらの機器を適切に配置することで、効率的な調理環境が実現でき、スタッフの作業負荷を軽減することができます。
ラーメン店の開業は、初期投資が比較的少なく、市場の需要が高いという点で魅力的です。しかし、高い閉店率という厳しい現実があり、成功するためには綿密な準備と戦略が不可欠です。
本記事で紹介したメリットとデメリットを理解し、適切な開業形態を選択し、業界の現状を正確に把握した上で、差別化されたコンセプトと品質の追求、堅実な資金管理、そして人材確保に注力することが、ラーメン店開業成功の鍵となるのです。ラーメン店開業を検討されている方は、これらのポイントを参考にして、実現可能で持続可能なビジネスプランを立案することをお勧めします。